七夕といえば7月7日。
ですが、七夕行事である七夕祭りが開催されるのが8月過ぎてからの地域が多くありませんか?
その理由として「新暦の七夕を採用せず、旧暦の七夕の日を採用する地域が多いから」という意見があげられています。
はて?旧暦と新暦ってなんぞや??
七夕関連を調べると常連のようにでてくるこの二つの言葉。
よく耳にする言葉だけれども、具体的な意味や由来はさっぱりわからないという方々が多いのではないでしょうか?
ということで、この記事では、七夕でよく耳にする「旧暦」と「新暦」について、そもそもそれらは何のか?
なぜ未だに旧暦の七夕で行事が行われているのか?
などの疑問を歴史に触れながら明らかにしつつ、簡潔にお話していきます。
また旧暦から新暦に変わった時期とその理由がなかなか切実だったので、そこもプラスアルファでご紹介します。
小難しい話がうんざりなそこのあなたも一度、最後まで読んでいってくださいな。
旧暦の七夕と新暦の七夕、なんだそりゃ?
まずはQ&Aで答えていきましょう。
旧暦(太陰太陽暦)と新暦(太陽暦)は一年を数える方法。
旧暦は月の満ち欠け、新暦は地球が太陽の周りを一周する時間を基準にするため、七夕の日付に約1~2ヶ月の誤差がでる。
七夕はもともと「お盆行事」の一環として行われていたから。
ということになりました。
それでは1つずつ、解説していきましょう。
旧暦と新暦の七夕の誤差は約1~2ヶ月弱、そのワケとは?
七夕において、旧暦と新暦で約1~2ヶ月弱の差があるということで、まずは旧暦と新暦についてそれぞれどういうものなのかを説明していきますね。
旧暦とは?
旧暦とは俗に「太陰太陽暦」とよばれるもので、月の満ち欠けを基準にして1年を数える方法です。
月は新月からはじまり、上弦→満月→下弦→新月というサイクルを繰り返します。
その新月から次の新月になるまでの期間が約29.5日となり、それを「1ヶ月」という単位に定めていました。
それを12ヶ月分通算すると1年が354日となり、現在の1年間の日数と比べると「11日」もの誤差がでるのです。
その誤差のちょうじり合わせとして、3年に1度(11日×3年=約1ヶ月)、1年間を13ヶ月としていたのです。
その第13番目にあたる月を「閏月(うるうづき)」と呼びます。
ちなみにこの旧暦での1年間のカウント方法は明治5年の12月2日まで使われ、その翌日から新暦が試行されることとなります。
新暦とは?
新暦というのは、「太陽暦(グレゴリオ暦)」といって、地球が太陽の周りを1周するのに費やす時間を1年間としてカウントする方法です。
地球が太陽の周りを1周するのにかかる時間は約365日と6時間ほど。
この新暦の数え方だと4年に1度、端数の6時間×4年分(=24時間/1日)を付け足して、1年を366日扱いにし、ちょうじりを合わせます。
その年が「閏年(うるうどし)」と呼ばれているのですが、皆さん、一度は聞いたことはありますよね?
この新暦が施行されたのが、先に述べたように、明治5年、12月2日の翌日です。
その翌日をなんと、明治6年1月1日として、新しいスタートをきったのです。
明治5年が終わりを迎える約1ヶ月前に待ちきれず、見切り発車した感じですね。笑
旧暦と新暦でズレが生じるワケ
旧暦と新暦では季節の割り振りの仕方にも差がでていますよね。
日本は春夏秋冬の四季がハッキリしており、1シーズンが3ヶ月のスパンでローテーションしています。
旧暦の場合、1月からの3ヶ月、つまり1~3月までを春の季節とし、最後の3ヶ月の10~12月までが冬の季節というサイクルを続けていました。
それに対して新暦は3月からの3ヶ月、3~5月を春の季節とする、いわば体感で季節を定めており、季節の誤差が2ヶ月あります。
よく年賀状にある「新春」という言葉は、旧暦にあたる春の季節が1月からだったことが由来しているのがわかりますよね?
この2つ理由が関係して旧暦と新暦には1~2ヶ月弱、という曖昧な誤差が生じるということがおわかりいただけたのではないかと思います。
ですので、私たちが毎日体感する季節感という意味では「新暦」が正しいし、シンプルにそれが当たり前のように沁みついていますよね。
ただ、旧暦の名残もバランスよく取り入れていることも確かですので、旧暦をないがしろにしてはなりませんね。笑
七夕はご先祖さまへのご供養行事!!
次に七夕が旧暦の日付で行われている地域が多い理由として、関係している「伝統的七夕」、「旧暦による七夕」についてお話していきます。
旧暦の季節でいうと
⇒七夕は秋に行われる伝統行事
だったんです(意外ですね)。
カンカン照りの夏を終え、潤いを失った畑の回復や豊作を祈る「雨祈願」をテーマにした水のお祭りだったのですよ。
その習慣を「七月盆」とも呼んでいて、水で自身の心身を清め、ご先祖様をお迎えし、供養する習慣でもあったのです。
それが「伝統的七夕」、もしくは「旧暦による七夕」と呼ばれる理由であり、秋のご供養行事の一環だったのですね。
そして現在の新暦の7月7日というのは、梅雨の真っ最中。
悪天候でシンプルに行事として楽しめないですし、そんな中でご先祖さまをお迎えするのは失礼ですよね。
そのような理由もあり、旧暦の七夕を大事にしている地域が多くあり、七夕もお盆も7月ではなく、8月に行われています。
じつはそれ、ちょうど1ヶ月遅らせていることから「月遅れ」という言葉も存在していて、その説のほうが強いんですね。
ただ、日本は伝統を重んじる気持ちが強いので、新暦の規定はあるけれども、旧暦の名残は大事したいので柔軟に対応している。
単に梅雨明けで行事を行うには最適なシーズンで都合が良い「月遅れ」を採用し、8月に七夕やお盆がある。
というぐらいに考えてOKです。
だってツジツマを正確に合わせてしまったら、七夕とお盆の行事が9月に行われる年とかもでてきてしまって、まとまりがないですものね。
完璧主義な方、イージーゴーイングでいきましょう!!
新暦に改暦されたデリケートな事情!?
ここからはプラスアルファ情報として
「改暦をした理由の1つがお給料だった!!」
というなんとも切実なデリケートな事情についてお話していきます。
皆さんも、もうご存知の通り、明治6年から改暦され、1年が365日の12ヶ月の新暦スタイルが今現在の基本になっています。
仕事をされている方のお給料も月に1回支払われるのがこの国では常識ですよね。
しかし、それがなんと旧暦の時代は
3年に1度、お給料が年に13回支払われる
ということがあったのですね。
労働者にとってはラッキー、雇用主からしたら痛い。
それを問題と考え、解消するために新暦にしたということなのです。
新暦のこの時代に生きていても、職種やご自身の能力が評価されて「ボーナス」という名の臨時収入がでている方も大勢いらっしゃると思います。
旧暦の恩恵は受けられないのは残念だけれど、持ち前のガッツで「閏月」を上回る臨時収入をゲットしてくださいね。
七夕の旧暦と新暦にまつわるメリットとデメリット
さて、ここではシンプルに旧暦から新暦に変わったことでのメリットとデメリットをざっくり紹介してきますね。
新暦になったことでのメリットは…?
- 年月を重ねることで調整するちょうじり合わせがとても簡単
- 体感で季節を決めているので馴染みやすい
それではデメリットは…??
- 忠実に7月7日に七夕行事をすると悪天候にあたりやすい
といったところでしょうか。
単純に考えてもすべての日本国民が新暦になってから生を受けていますから、新暦であることが当たり前という答えでいいのではないでしょうか?
何事にも良い面と悪い面が存在するのです。
まとめ
以上が七夕における旧暦と新暦についてでした。
振り返りましょう。
- 旧暦と新暦では1年をカウントする方法が異なり、約1~2ヶ月の誤差がある
- 新暦のほうが何かとちょうじり合わせがしやすいし、都合がいい
- じつは梅雨対策という理由で「月遅れ」を利用し、1ヶ月ずらして8月に七夕やお盆を祝う地域が多い
- 旧暦の七夕は実は秋に、ご先祖さまの供養をするためのお盆行事であり、「伝統的七夕」や「旧暦による七夕」という
ということでした。
結局は、わかりやすいシンプルな方法を国が定めて、伝統行事は臨機応変に行っているのだなぁと個人的に思いました。
「絶対にこうでなくてはならない。」というような、決まりに執着しない柔軟な対応は素晴らしいですよね。
頑張ってわかりやすいようにお話してまいりましたが、うまく伝わっていたらうれしいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。